今回注目を集めている防災絵本は、大学の講義室の中だけで生まれた企画ではありません。愛知学泉大学の学生たちが能登半島地震の被災地に赴き、現地の子どもたちや保護者と直接向き合った学生ボランティア活動の現場から立ち上がったプロジェクトです。
被災地に入った学生たちが直面したのは、大人中心で運営されがちな避難所生活の厳しい現実でした。報道各社や支援団体の現地調査でも指摘されている通り、被災直後の能登半島では、物資の仕分けや高齢者のケアが最優先されるあまり、避難所キッズスペースが十分に確保できない施設が相次ぎました。声を上げて遊ぶこともままならず、周囲の大人たちに気を使って小さく身を縮める子どもたちの姿は、将来保育士や幼稚園教諭を目指す学生たちに強い問題意識を植え付けました。
被災地の避難所で直面した「子どもの居場所不足」と心のケア
災害時、子どもたちは言葉にできない不安やストレスを抱え込みます。東京すくすく(東京新聞)などの取材データでも、被災時に子どもが安心して過ごせる場を作ることの難しさと、日常の遊びを取り戻す空間づくりの緊急性が浮き彫りになっています。現地でレクリエーションや遊び場の提供に奔走した愛知学泉大生たちは、極限状態の避難所において「知識としての防災」だけでなく、子どもの心のケアとセットになった日常的なアプローチが不可欠であると痛感しました。
「いざ揺れた時にどう動くか」を頭で理解していても、パニック状態では大人でさえ動けません。ましてや幼児であれば、恐怖で固まってしまうのが当然です。学生たちは帰還後、現地で見聞きしたリアルな課題を共有し、「災害が起きる前の平時から、絵本という身近なツールを使って防災を生活の一部にできないか」と議論を重ね、絵本の自主制作へと舵を切りました。