屋号に「石」の文字を冠している通り、あたみ石亭の象徴となっているのが、約3,000坪の広大な敷地に広がる圧巻の日本庭園です。創業者や歴代の作庭家が日本全国の名石・巨石、銘木を蒐集して築き上げたこの庭園は、野趣あふれる力強さと日本的な幽玄の美を兼ね備えています。
対局の合間、あるいは昼食休憩や封じ手の際、棋士たちが庭園に目を向け、深呼吸をする姿が報道写真にもたびたび収められてきました。巨石が放つ圧倒的な重厚感と、季節ごとに移ろう木々の緑や苔の美しさは、脳を極限まで酷使するプロフェッショナルにとって最高の心理的リセット効果をもたらします。心理学的見地からも、無機質な人工空間と異なり、複雑なフラクタル構造を持つ自然庭園を眺めることは、精神的疲労の回復(注意回復理論)に極めて高い効果があると実証されています。あたみ石亭の庭園は、単なる視覚的装飾を超えて、勝負師の精神を支える重要な舞台装置として機能しているのです。