SNSやネット掲示板などでは、時折「八百万の個性なら、もっと殺傷力の高い近代兵器や毒ガスを作れば一瞬で勝てるのではないか」「作者にナーフ(弱体化)されているのでは?」という疑問の声が上がることがあります。しかし、これは本作の世界観と彼女の役割に対する誤解から生じたものです。
第一に、彼女が目指しているのはヴィランを殺傷する軍人ではなく、人命を救助し法の下で敵を制圧する「ヒーロー」です。致死性の高い兵器を無差別に生成することはヒーローの倫理規定に反するだけでなく、周囲の仲間や市民を巻き込むリスクを伴います。
第二に、A組・B組対抗戦で拳藤一佳に敗北したシーンについても、「個人の勝敗」で見れば負けですが、「チーム戦の戦略」で見れば大勝利への決定的な布石でした。彼女は自分が拳藤に密着されて倒されることすら計算に入れ、倒れる直前に仲間へのサポート物資(保温具や暗視ゴーグルなど)を生成して託したのです。ここには「自分が目立つこと」よりも「チーム全体の勝利」を最優先する、真のリーダーとしての成熟が明確に描かれています。