細木氏の支配は金銭面にとどまりませんでした。島倉さんの自尊心を削り、自らの意のままに操るための過酷な精神的圧迫が行われていたことが、当時の関係者や親族の証言から明らかになっています。
その最たる例が、週刊誌グラビアでの水着撮影の強要でした。清純派の国民的演歌歌手として確固たる地位を築いていた島倉さんにとって、肌を露出する撮影は屈辱以外の何物でもありませんでした。「話題作りをして借金を返すためだ」と命じられ、涙を流しながらカメラの前に立たされた島倉さんの姿は、業界内でも大きな波紋を呼びました。
さらに、行動の自由も奪われていました。細木氏の監視下に置かれた島倉さんは、地方公演のホテルでも外部との接触を制限され、電話一本かけるのにも許可が必要な状態に陥ります。精神的に限界を迎えた島倉さんは、突如として現場から姿を消す「失踪事件」を起こすなど、深刻なパニック状態に追い込まれていきました。
救済者として信じ込んだ相手から逃れられない「心理的拘束(洗脳疑惑)」と、暴力団関係者を背後にちらつかせる脅威。島倉さんはまさに、生きた心地のしない檻の中に閉じ込められていたのです。