福田雄一監督作品の象徴ともいえる二大巨頭、ムロツヨシ(椋木先生役)と佐藤二朗(赤坂哲夫役)。この2人が画面に登場するだけで、共演者には凄まじい緊張感が走ります。『未公開シーン復活版』において最も尺が伸びているのが、まさに彼らが絡むシーンです。
ムロツヨシ演じる椋木先生は、某有名学園ドラマの教師を露骨に意識した口調と仕草で職員室をかき回します。職員室の同僚である坂本先生(じろう/シソンヌ)や反町先生(長谷川忍/シソンヌ)とのやり取りは、ほぼコントの即興劇。シソンヌの2人が巧みに受けることで、ムロツヨシのボケは予定調和を超えて延々と続きます。未公開版では、ムロツヨシが自分でも何を言っているのか分からなくなり、吹き出しながら強引に着地させる一部始終が克明に残されています。
一方、清野菜名演じる理子の父・赤坂哲夫を演じる佐藤二朗は、独特の「間」と意味不明な擬音、執拗な同じフレーズの繰り返しで相手を揺さぶります。賀来賢人や伊藤健太郎が真面目な顔を保とうとして口を真一文字に結び、最終的に耐えきれず下を向いて肩を震わせる姿は、もはや演技ではなく「人間が本気で笑いを我慢するドキュメンタリー」の様相を呈しています。