音楽理論の観点から「白日」を分析すると、当時のJ-POPの常識を打ち破る前例のない構築美が見て取れます。一般的な邦楽ヒット曲に見られるキャッチーな王道進行(丸サ進行やカノン進行)に安住せず、ブラックミュージック、ジャズ、クラシックの語法が高度に統合されています。
| パート | コード進行・理論的特徴 | 楽曲にもたらす聴覚的効果 |
|---|---|---|
| Aメロ(導入部) | テンションコード多用のネオソウル進行(D♭メジャーキー) | ピアノと歌のみの静謐さの中に、揺らめくような哀愁を付与 |
| Bメロ(リズムイン) | 16ビートのシンコペーションと経過和音の挿入 | ベースとドラムのタイトな跳ね感により一気にドライヴ感を高める |
| サビ(感情の解放) | 半音上への転調(Dメジャーキーへのスライド) | 視界が一気に開けるような高揚感とドラマティックな視覚性を提示 |
| Cメロ〜展開部 | ノンダイアトニックコードを絡めた複雑なモーダル展開 | 出口の見えない精神的な混沌と心の叫びを音楽的に具現化 |
特に秀逸なのが、サビに入る瞬間に施された半音転調です。通常、J-POPにおける転調はラストサビで盛り上がりを演出するために用いられることが多いですが、「白日」では各サビごとにシームレスに調性がスライドし、聴き手に眩暈を覚えるような浮遊感を与えます。この難解なボイシングを破綻なく支えているのが、ジャズ畑出身のベーシスト新井和輝と、ヒップホップやファンクに精通したドラマー勢喜遊の盤石なアンサンブルです。