今回のさいたまスーパーアリーナ公演において、ファンを最も揺さぶったのは計算し尽くされたライブセトリの流れでした。開幕と同時にアリーナ全体を青一色のペンライトで染め上げたアップテンポなナンバーから、中盤のダンスチューン、そして終盤のエモーショナルなバラードブロックまで、観客の感情を緩急自在にリードしました。
そのなかでも最大のハイライトとなったのが、ころんくんの代表曲でありシンボルとも言える『敗北ヒーロー』の歌唱です。この楽曲は、活動初期の苦悩や葛藤、逃げ出したくなるほどのプレッシャーのなかで「完璧なヒーローじゃなくても、泥臭く立ち上がればいい」と自らの弱さをさらけ出して紡ぎ出された楽曲として知られています。
普段のゲーム配信では大声で叫び、リスナーを笑わせる道化を演じることの多い彼が、巨大なSSAのステージ中央でマイクを両手で握りしめ、涙をこらえながら喉を震わせて歌う姿は、現場の観客だけでなく配信画面の前の視聴者の胸をも激しく打ちました。最新鋭のレーザー照明と大型スクリーンの演出が組み合わさり、ただのアイドルライブを超えた「ひとりの表現者の生き様」が刻み込まれた名場面です。