切り込みを入れて加熱する方法以外にも、調理現場や家庭の知恵として受け継がれてきた複数のアプローチが存在します。料理の仕上がりや手元の道具によって、どの方法が最も効率的なのか。主要な5つの皮むき手法について、作業時間・実のロス率・かゆみリスク・適した料理の観点から客観的に比較しました。
| 皮むきの手法 | 所要時間(5個あたり) | 実の無駄・歩留まり | 手のかゆみ・ぬめり | 向いている料理 |
|---|---|---|---|---|
| 切り込み+下茹で・レンジ | 約5分(加熱時間含む) | ◎(ロスほぼゼロ) | ◎(ほぼ発生しない) | ポテサラ、コロッケ、汁物、炒め物 |
| 包丁(六方むき・縦むき) | 約3〜5分(熟練度による) | △(15〜20%削れる) | △(乾燥させれば軽減) | おせち、上品な和風煮物、含め煮 |
| アルミホイルこすり剥き | 約4〜6分 | ◎(薄皮のみ除去) | ○(水中で行えば少ない) | 新里芋の煮っころがし、きぬかつぎ |
| ピーラー(皮むき器) | 約3分 | ○(比較的薄く剥ける) | ×(滑りやすく怪我に注意) | 普段の豚汁、けんちん汁 |
| 皮ごと調理(剥かない) | 約1分(泥洗いのみ) | ◎(完全ゼロ・栄養満点) | ◎(一切かゆくならない) | 唐揚げ、フライド里芋、グラタン |
和食の基本「六方むき」が今も支持される構造的理由
加熱してつるんと剥く方法が圧倒的に手軽である一方、プロの和食料理人や料理愛好家の間では、今なお包丁を使った「六方むき(ろっぽうむき)」が重宝されています。一見すると手間がかかりそうな六方むきですが、実は「皮剥き=切り方(成形)」を同時に兼ねているため、慣れれば下ごしらえのトータル時間は非常に短くて済みます。
六方むきの手順は、まず里芋の上下(頭と尻尾)を平らに切り落とし、断面が六角形になるように上から下へ6回に分けて皮を剥いていくというものです。なぜわざわざ六角形にするのかと言えば、「断面の角を作ることで煮崩れを防ぎつつ、繊維の断面を広げて出汁や調味料の染み込みを劇的に良くする」という理にかなった科学的根拠があるからです。また、上下を平らにすることで鍋底で里芋が転がりにくくなり、盛り付けた際にも立体感と美しさが生まれます。なお、大きな里芋を扱う際は、先に「輪切り」や「半月切り」にしてから、まな板の上に置いて周囲の皮を包丁で切り落とす方法も、手が滑らず安全に処理できるテクニックとして有効です。
包丁を使わない「アルミホイル」活用術の威力
秋口に出回る皮の薄い「新里芋」や小ぶりの里芋を扱う際に絶大な威力を発揮するのが、丸めたアルミホイルでこするだけという包丁を使わない方法です。アルミホイルを20〜30cmほど切り取ってピンポン玉くらいの大きさにふんわりと丸め、表面に凹凸を作ります。あとは水を流しながら、あるいは水を張ったボウルの中で、里芋の表面を優しくこするだけです。
アルミホイルの適度なエッジがヤスリの役割を果たし、茶色い毛羽立った外皮だけを綺麗に削ぎ落としてくれます。ゴボウの皮むきと同じ原理ですが、里芋の丸みや窪みにもアルミホイルが自在にフィットするため、小さな里芋でも実を削らずに真っ白に仕上げることができます。