そもそも、人間の爪は一体どれくらいのスピードで成長するのでしょうか。皮膚科学のデータによると、健康な成人の手の爪は1日に約0.1ミリ、1か月で約3ミリ伸びるのが平均値とされています。一方、体重を支え靴の圧迫を受けやすい「足の爪」は手よりも代謝が遅く、1か月に約1〜1.5ミリ程度と手の半分ほどのスピードにとどまります。
爪を生み出しているのは、甘皮(キューティクル)の奥、皮膚の下に隠れている爪母(マトリクス)と呼ばれる製造工場です。ここで生み出された細胞が、主成分である硬質タンパク質「ケラチン」へと変化しながら前方へ押し出されていきます。すでに目に見えている爪プレート自体は神経も血管も通っていない死細胞であるため、爪の表面に何を塗っても成長速度そのものが劇的に2倍、3倍へと跳ね上がることは生物学的にあり得ません。
では、なぜ「キューティクルオイルを塗ったら早く伸びた」という声が後を絶たないのでしょうか。その理由は至極明快です。多くの人は乾燥や摩擦によって先端が欠けたり、目に見えない二枚爪を起こして摩耗していたりするため、本来伸びるはずの長さを無意識に失っています。オイルケアによって「欠けずに維持できる強さ」が担保され、さらに爪母周辺の血流が改善されることで、その人が持つポテンシャル通りの最速ペースが引き出されるのです。