「満洲味」をはじめとする名店の丼を前にして、まず目を奪われるのが透き通った黄金色のスープです。表面にはキラキラと輝く上質な油膜が浮かび、立ち上る湯気からは牛筋を甘辛く煮込んだときのような芳醇で香ばしいアロマが漂います。
この独特な味わいの科学的根拠は、牛脂の融点(溶ける温度)にあります。豚脂の融点が約33〜46度であるのに対し、牛脂は40〜50度とやや高めです。そのためスープの熱を逃さず、最後まで熱々の状態がキープされます。さらに、じっくり煮出すことで牛骨髄から溶け出すイノシン酸などのうま味成分とコラーゲンが、醤油ダレのカドを包み込み、砂糖では出せないまろやかな「甘み」を形成するのです。
麺はスープの持ち上げが良い中細の縮れ麺が主流です。一口すするごとに、香ばしい牛脂のコクとスープの旨味が口いっぱいに広がり、後味は驚くほど軽やか。米子鬼太郎空港を利用するCAやロケで訪れた芸能人が「移動時間を割いてでも立ち寄りたい」と絶賛する理由は、この「ガツンとくる旨味」と「すっきりしたキレ」の共存にあります。