漫画『地獄楽』では、打ち首執行人を務める名門「山田浅ェ門」一門が、不老不死の仙薬を求めて極楽浄土の島へと派遣されます。主人公・画眉丸の首を刎ねようと対峙する佐切の圧倒的な太刀筋や、罪人たちを冷徹に監視する段位持ちの剣士たちの姿は読者を釘付けにしました。
実在の「山田浅右衛門」は、江戸時代を通じて代々その名を襲名し続けた刀剣テストの専門家一族です。創作と現実の最大の違いは、山田家が「公儀の正規役職(旗本・御家人)」ではなく、制度上は町奉行配下の陪臣ですらない浪人の身分であった点にあります。幕府から直接俸禄をもらう身分ではなかったからこそ、彼らは独自の技術を磨き上げ、幕府公認の請負職人として唯一無二のポジションを築き上げました。