日本語の文章作成において最も頻出するミスの一つが、「省みる」と「顧みる」の漢字の誤用です。どちらも同じ「かえりみる」という読みを持ちますが、焦点が当てられている対象が根本的に異なります。
「省みる」が自らの内面・過失・行動の是非を検証するベクトルを持つのに対し、「顧みる」は物理的な後方、過ぎ去った過去の出来事、あるいは周囲への配慮や気遣いに視線が向いています。例えば、「過去を省みる」という表現は文脈によっては不自然とされることがあり、過去の歴史や思い出そのものを回想する場合は「過去を顧みる」が正しい用法となります。
| 表記 | 核心的な意味合い | 代表的な慣用表現・例文 |
|---|---|---|
| 省みる | 自らの行い・内面を反省する、自問自答する | 「我が身を省みる」「軽率な行動を省みる」「不誠実な態度を深く省みる」 |
| 顧みる | 後ろを振り返る、過去を回想する、気にかける | 「歴史を顧みる」「家庭を顧みない」「後ろを顧みる余裕もない」 |
判断に迷った際は、「そこに反省・自戒の念が含まれているかどうか」を基準にしてください。「家庭を顧みず働いた」は「家庭に配慮しなかった」という意味なので「顧みる」ですが、「家庭を犠牲にした己の生き方を深く省みた」とするならば、反省の意が主軸になるため「省みる」が適合します。