ズボンの素材によって、切らない裾上げの難易度と最適な処置は大きく異なります。
スラックス裾上げの場合
ウールやポリエステル混紡のスラックスは、生地が柔らかくドレープ(落ち感)が命です。熱接着テープは生地のしなやかさを殺して硬直化させてしまうため絶対NG。前述の「奥まつり」または「流しまつり」一択となります。折り返した布の端がほつれやすい場合は、折り返し端にロックミシンがかかっているか確認し、そのラインに沿って縫い進めます。
デニム裾上げの場合
デニムは生地が極めて硬く分厚いため、通常のまつり縫いでは針が通りません。また、裾を内側に折ると足首周りがボテッと太く見えてしまいます。切らずにデニムを短くしたい場合の裏技としてプロも認めるのが、「裾の元々のステッチ(アタリ加工)を生かして、外側または内側でつまんで平らに縫い留める技法」です。厚地用の頑丈な糸(30番手程度)を使用し、縫い代を左右に倒してアイロンで叩くように潰すことで、自然な仕上がりを維持できます。
【プロの結論】切らない裾上げに向いている人・やめるべき人の判断基準
「切らない手縫い」は万能の魔法ではありません。自身の着用目的とズボンの状態に合わせて、以下の基準で判断してください。
- 切らない手縫いが最適な人:成長を見越した学生服、今後フリマアプリ等で売却予定のブランドボトムス、数センチ程度の微調整で済む薄手〜中肉のスラックス。
- 切らずにやるべきではない人:10cm以上裾が余っているズボン(内側の布だまりでシルエットが崩壊する)、極端に重いヘビーオンスのデニム、毎日ガシガシ洗濯機で丸洗いするワークパンツ(プロのミシン裾上げを推奨)。