2014年、テレビをつければ毎日のように耳にした「ダメよ~ダメダメ」。過疎化が進む集落の老人・細貝さん(中野)と、彼が購入した心を持たないガイノイド・朱美ちゃん(橋本)が織りなすコントは、滑稽さの奥底に薄ら寒い孤独やエロティシズム、哀愁を秘めた異色のネタでした。しかし、地上波バラエティのフィルターを通すことでフレーズだけが切り取られ、子どもから大人までが真似をするキャッチーなギャグとして一人歩きを始めます。
当時のインタビューや関係者の証言によると、ブレイク時のスケジュールは睡眠時間が2~3時間を切る過酷なものでした。衣装の着替えや白塗りメイクの施し・落としだけでも多大な労力を要し、移動の合間にも次の収録に向けた準備が追いつかない極限状態が続きました。中野は後に「自分たちの意図とは異なる文脈でフレーズだけが記号化されていく恐怖があった」と語っています。多くのコント師が直面する「キャラクター消費のジレンマ」の渦中に、彼女たちは立たされていました。