テレビ朝日の看板音楽番組『ミュージックステーション』において、タモリがアーティストに向ける眼差しにはいくつかのグラデーションが存在します。そのなかでも、あいみょんに対する姿勢は際立ってリラックスしており、かつ興味津々です。
タモリといえば、ジャズや地形、古地図、鉄道、料理といった多様な趣味に精通し、「意味を求めすぎない軽やかさ」を美学とする表現者です。一方のあいみょんも、昭和歌謡やフォークソングへの強い愛着を持ちつつ、日常の些細な違和感やフェティシズムを詩的言語へと昇華させる才能に長けています。番組トーク中、あいみょんが語る生活感に溢れたエピソードや独特の観察眼に対し、タモリが思わず相好を崩して前のめりに聞き入るシーンは幾度となく目撃されてきました。
2025年に話題となったゆりやんレトリィバァの証言にあるように、スタジオの生放送中であっても、タモリとあいみょんの呼吸は阿吽の境地に達しています。突拍子もないボケに対してタモリが間髪入れずに拾い、そこにあいみょんが自然な関西弁でスパイスを効かせるなど、大御所と若手という上下関係を感じさせない「カルチャーの同好の士」としての信頼が形成されています。