鬼殺隊の呼吸法は、始まりの呼吸である「日の呼吸」から枝分かれした「水・炎・風・岩・雷」の基本五流派を幹としています。戦闘者個人の骨格や筋力、適性に合わせて派生が繰り返されてきた歴史の中で、蟲の呼吸の立ち位置は非常にユニークです。
相関図を紐解くと、蟲の呼吸は「水」から派生した「花の呼吸」の直系派生にあたります。胡蝶しのぶの実姉であり、前花柱であった胡蝶カナエが用いていた花の呼吸は、水の柔らかさと視覚・動体視力を活かした連撃主体の流派でした。しかし、しのぶは小柄で非力な体格であったため、姉と同じように鬼の硬い頸を両断することが物理的に叶いませんでした。
そこで彼女は、花の呼吸の柔軟な身のこなしに独自の薬理学と突進力を融合させ、「鬼を斬るのではなく、毒を突いて殺す」という全く新しい戦闘概念を構築。これが「蟲の呼吸」の誕生背景です。五流派からの直接派生ではなく、派生からさらに派生した「孫流派」でありながら、柱の席に到達したという事実は、鬼殺隊の歴史でも稀有な快挙といえます。