ORANGE RANGEの楽曲の真骨頂といえば、リスナーを瞬時に高揚させるリズム感と、日常の道徳観を少しだけ飛び越えるような際どい言葉遊びにあります。『イケナイ太陽』の歌詞世界において主軸となっているのは、理性を焼き尽くす「夏の太陽」と、それに惑わされて一線を越えてしまいそうな「男女の駆け引き」です。
冒頭から展開される「黄色い歓声」や「刺激を求める視線」の描写は、単なる海辺のナンパ劇にとどまらず、誰もが心の奥底に秘めている刹那的な欲望を巧みに呼び覚まします。特に印象的なサビのフレーズでは、「いけない」と頭ではブレーキを踏みながらも、太陽の光と熱気に背中を押されて衝動へ身を委ねていく若者の心理が疾走感たっぷりに歌い上げられています。
歌詞中に散りばめられた「交わす言葉の裏に隠された合図」や「絡みつく視線」は、大人びた情事の気配を漂わせつつも、決して湿っぽくならず底抜けに明るいファンク・ロックへと昇華されています。この「危うさとポップさの絶妙な黄金比」こそが、思春期のリスナーの好奇心を刺激し、大人世代になっても色褪せないノスタルジーを感じさせる核心といえます。