日本国内の保守派やSNS上では、「これほど無礼な発言を繰り返す外交官は直ちに国外追放(ペルソナ・ノン・グラータ指定)にすべきだ」という声が幾度となく上がってきました。ウィーン条約第9条に基づけば、接受国(日本)は理由を告げることなく、いつでも外交官を「好ましからざる人物」として通告し、出国を要求することができます。
しかし、日本外務省がこの伝家の宝刀を抜かないのには、極めてシビアな外交上の計算があります。
もし日本政府が中国の総領事を追放した場合、中国側は間違いなく「同等の報復措置(ミラー・レスポンス)」を発動します。すなわち、北京の日本大使館や上海・広州などの総領事館に駐在する日本の重要外交官が、報復として国外退去を命じられることになります。現地で邦人保護や経済インテリジェンスを担う日本の外交拠点が麻痺することは、日本にとって計り知れない国益の損失となります。
外務省としては、外交ルートを通じて厳重抗議を申し入れつつも、公館トップの追放という決定的な破局を避け、実務的なチャンネルを維持する道を選び続けているのが冷酷な外交の現実です。