Here is expert analysis on 普通の三徳包丁でも鯛はさばける?出刃包丁との違いと身を傷めない切り方を徹底検証.

インターネット上の解説動画や掲示板では、「切れ味の悪い包丁でも力で押せばさばける」「頭や中骨は硬いから家庭ゴミに出すしかない」といった誤った認識が散見されますが、これは極めてもったいない誤解です。

第一の盲点は、包丁の切れ味不足による「身割れ(みわれ)」です。鯛の身は加熱するとふっくらとしますが、生の身は繊維が繊細です。切れない包丁でノコギリのようにギコギコと往復運動をさせると、細胞が押し潰されてドリップ(旨味成分を含む水分)が流出し、食感がボソボソになってしまいます。三徳包丁を使う場合であっても、事前に砥石や簡易シャープナーで刃先を整えておくことが必須条件です。

第二の盲点は、骨や頭の廃棄です。鯛という魚の真価は、骨の周りに凝縮されたゼラチン質とイノシン酸にあります。取り外した頭やカマ、中骨は、熱湯を回しかけて血の塊や残ったウロコを洗い流す「霜降り」処理を施した上で、昆布出汁で煮込めば極上のあら汁や潮汁に生まれ変わります。骨を無理に切断せずきれいに残すことは、おろす作業を楽にするだけでなく、料理全体の歩留まりを高める上でも極めて合理的です。