今でこそ笑顔がトレードマークの2人ですが、2019年8月の結成当初、周囲からは「9歳差ペア」に対する慎重論や懸念の声も上がっていました。当時、木原選手は度重なる怪我や脳震盪に苦しみ、前パートナーとのペア解消を経て引退すら考えていた時期でした。一方の三浦選手もパートナーシップを解消し、新たな道を探しているタイミングでした。
関係者の推薦でアメリカ・デトロイトで初トライアウトを行った際、三浦選手が抱いた木原選手の第一印象は意外にも「すっごく怖い」というものでした。すでに国際経験が豊富で寡黙にトレーニングを積むベテランの木原選手に対し、当時まだ高校生だった三浦選手が強い威圧感を覚えたのは無理もありません。
しかし、氷上に降り立った瞬間に空気は一変します。木原選手が三浦選手の手を取り、サイドバイサイドで滑り出した数秒後、互いに「雷が落ちたような衝撃」を受けたといいます。木原選手は後に当時の感覚を「スピードを合わせようと意識しなくても、最初から同じリズムで呼吸が合っていた」と回想しています。滑りの基礎技術やスケーティングスピードが驚くほど自然に一致したことで、第一印象の壁は瞬く間に氷解し、わずか数日の練習を経て正式にペア結成を決断しました。