一口馬主を金融投資の一種と捉えようとする試みは、競走馬ビジネスの構造的な数字に直面した時点で脆くも崩れ去ります。最大のリスク要因は、JRA(中央競馬)に所属する競走馬が直面する勝ち上がり率の低さにあります。
JRAにおける3歳未勝利戦が終了する秋口の時点で、1勝以上を挙げて中央競馬に残留できるサラブレッドは全体の約3割から3割5分程度にとどまります。残りの約7割は1勝も挙げられずに引退、地方競馬への転籍、あるいはファンド解散の憂き目に遭います。この「勝ち上がれなかった7割」の馬たちは、出資金の回収率が10〜20%程度にとどまるケースが大半であり、初期費用の大部分がそのまま損失として確定します。
さらに厳しい現実は、仮に1勝クラスを突破したとしても安心はできない点です。競争相手のレベルが上がるにつれて掲示板(5着以内)に乗る難易度は跳ね上がり、重賞路線でコンスタントに活躍して募集価格(馬代金)を大きく上回る賞金を稼ぎ出す馬は、全体のわずか1割未満というのがクラブ競馬の厳然たる現実です。
| クラス・ステータス | 該当馬の割合(目安) | 平均的な回収率の目安 |
|---|---|---|
| 重賞・オープンクラス | 全体の 約3〜5% | 200% 〜 1000%超(大幅な黒字) |
| 条件戦(2〜3勝クラス) | 全体の 約10〜15% | 80% 〜 150%(トントン〜微黒字) |
| 1勝クラス止まり | 全体の 約15〜20% | 40% 〜 70%(中程度の赤字) |
| 未勝利で引退・ファンド解散 | 全体の 約65〜70% | 10% 〜 30%(大幅な赤字) |